【APD/LiDのこと】診断を受けるということ
自分が「聴覚情報処理障害/聞き取り困難症」というものを知ったのは数年前でしたが、「診断できる医療機関がまだまだ少ない」と書いているブログを見たりして「きっと群馬にはないだろうなぁ」と思ったりしていました。
しかも、発達障害と同じく「工夫はできても治療はできない」ものだろうというのもあり、すぐに受診したい・診断を受けたいという希望もありませんでした。
しかし、最近になって近くの大学病院で検査が受けられると知り、受診してみると「自覚しているとおり、聞き取り困難の症状がみとめられる」という診断をもらいました。
結果的に「受診してよかった」と思っているので、今回自分が感じた「治らなくても受診する意味」について少し書きたいと思います。
はじめに:診断を受ける「べき」ではない

診断を受けてよかったよ!と書くと「診断は受けるべきだよ」と言われているように感じる人もいると思うので、念のため「そういうわけではないよ」ということを言っておきたいと思います。
自分は「結局自分がその状態であることに変わりがないなら、状態に名前が付いていたほうがいいじゃない」と思う派なのですが、そういう人ばかりではありませんよね。(むしろ少数派かも)
「診断を受ける=障害があると言われる」こと自体に抵抗があるという方もいると思います。「治るわけでもないのに、わざわざ検査を受ける意味があるのか」と感じる方も多いでしょう。
それがストレスになってしまうなら、無理に診断を「受けるべき」とは思いません。治療できる病気と違って、原因を探らなかったから病状が悪化していくというものでもないので。
しかも、現時点では障害者手帳・公的な助成の対象にもならなそうなので、特に成人の場合は制度的なメリットも少ない(※)です。
※全国的に、聞こえを補助する機器(補聴器・ロジャーシステムなど)の購入に対して助成金が受けられるのは高度難聴の人(障害者手帳の対象となる人)だけ、ということに対する感想です。
ただし、障害者手帳の対象とならない「軽度難聴」などの場合も子どもであれば公的助成の対象となる場合があります。自治体により基準や対象には差があるので、お住まいの自治体のホームページなども確認してみてください。
また、制度的なメリットは少なくても、小さなうちに聞こえの苦手さを把握することは、聴覚的な特徴に合った生活スタイル・進路を選んだり、聞こえなかったときの対応を練習することにはとても役立つと思います。
少し話がずれましたが、もう完全に大人になってしまった自分が個人的に感じた「受診」「診断」のメリットがこちら。
良かったこと① 症状を“数値で”説明できる
聞こえ方や見え方など感覚的なものは、人と比較するのが難しくて「なんとなく聞き取りにくい」としか言えないことが多いと思います。
実際、自分もこれまでは「聞き間違いが多い」「ざわざわした場所だと聞き取るのが大変」といった感覚的な説明しかできませんでした。
そのため、「私もそういうことあるよ~」と軽く受け取られてしまうことも少なくなかったと思います。
ですが検査を受けたことで、例えば
「一般的には9割ほど聞き取れる状況で、自分は半分程度しか聞き取れていないそうです」
といったように、数値で説明できるようになりました。これは家族や友人だけでなく、職場などで説明する際にもとても役立つと感じています。
周りから見てもわからないことだからこそ、「どれくらい困っているのか」を数字で客観的に伝えやすくなるのは、大きなメリットだと思います。
② 自分の“苦手な条件”が具体的にわかる
検査では、単に「聞こえる・聞こえない」だけでなく、
- どの音の高さが苦手なのか
- どれくらい雑音の影響を受けるのか
- 左右の音を聞き分けるのが苦手か
といったことも細かく調べます。さらに、発達障害の診断の際に受けた知能検査の結果と併せて「音の処理のどの段階でつまずいているのか」といった点まで見てもらえました。
その結果、「日常のなかではどういう環境だとつらいのか」「どんな対策が合いそうか」
を考えやすくなりました。(結果説明の用紙にも、ノイキャンイヤホンの使用や周囲への「聞こえにくさ」の明示などアドバイスも記載されていました)
自分の状況を把握するだけにとどまらず、日常生活の工夫につなげやすくなるというのも大きな収穫だったと思います。
③ 「聞き取れません」と言っていい安心感

これは検査結果がどうということではないので「メリット」というわけではありませんが、個人的にとても印象に残っている点です。
普段の自分は、人の話を聞き取れないと「迷惑をかけてしまうのではないか」「何度も聞き返して申し訳ない」と感じて、必死に予測を繰り返して会話をしています。
ですが検査中は、「わからないものは、わからないと言っていい」という前提があるので、とても気持ちが楽でした。
最初は検査とはいえ「なんとか当てなきゃ」と思っていましたが、回数を重ねるうちに、自然と「聞き取れません」と言えるようになり、その経験が自分にとってはとても印象的でした。
また、普段の生活では「ちゃんと聞いてよ」「誰でもうるさい場所なら聞き取りにくくない?気にしすぎだよ」と言われてしまうこともある中で、
対応してくれた言語聴覚士の方が「こう聞こえたんですね」「ここは難しかったみたいですね」と事実として受け止めてくれたことに思った以上に安心感をおぼえました。
聞き取りが不得意なのは昔からなので、メンタル的にももう慣れたと思っていましたが……意外と、普段「聞き取れていると装うこと」に疲れていたのかもしれないと自覚するきっかけにもなりました。
おわりに
聞き取り困難症の検査は、受けたからといってすぐに何かが大きく変わるわけではないかもしれません。
また別の機会に書こうと思いますが、診断を受けたら受けたで「それをどの範囲の人に/どう伝えるか」「どんな協力が欲しいと提案するべきか」といった課題も出てきます。
それでも、診断を受けたことで「聞こえの負担をマシにする環境調整」の一歩めくらいは踏み出せた気がしています。
なので、もし受診を迷っている方がいれば「こういう面で診断や検査が役立つこともあるみたい」と、ひとつの参考になれば嬉しいです。
【APDのこと】聴覚情報処理障害(APD)マーク、というものがあるよ
症状に悩んでいろいろ調べているなかで、「聴覚情報処理障害マーク」(またはLiD/APDマーク)というものに出会いました。
北海道でデザインを学んだ学生さんが卒業制作として作ったものだそうです。
このマークが、必要な人はもちろん、そうでない人にもたくさん知られることに意味があると思うのでちょっと紹介したいと思います。
公式サイトはコチラ
マークになっている“はてなの耳のコアラくん”のことやLid/APDのこと、マークはどのように使えるの?といったことが書いてあります。
マークは上記サイトから無料ダウンロード可能。でも、「LiD/APDマークの活動を少しでも支えたい!」という人は、下記のBASEショップで500円でのダウンロードもできますよ。
スマホにつけて、いつも一緒に
私は、ダウンロードしたマークの周りの文字を自分で少し変更して、キーホルダーにしてスマホにつけました。

お出かけのときはバックの外ポケットにスマホを入れたり、仕事中は制服のポケットにスマホを入れて、キーホルダーが外に出るように持っています。
バッグにつけるのもよいですが、服装やバッグを変えても付け替える手間がないので予想以上に便利でした。
もし仕事中にスマホを持てない業務内容・職種の人や、「手間をかけず簡単に使いたい」という人は、マークを紙にプリントして名札などに挟むだけでもいいかもしれません。
これをつけてから、毎日行く売店の人や上司など何人かがキーホルダーについて話しかけてくれました。
配慮してほしいことを伝えるまでいかなくても、聞き取りが苦手という症状を抱えていることを一言伝える良いきっかけになってくれています。
ちなみに、もともとの文字は「聞き取ることが苦手です ゆっくりお話ししてください」です。ひらがなバージョン・英語バージョンもあります。
私は職場で付けることも想定していたため「相手が行動を変えてくれるよう求める」のでなく「私がこう行動することを受け入れてほしいです」という感じで、「聴き返しをご了承ください」という文言に変えました。
※加工にあたり、一応製作者さんに確認を取って「ご自身の手で変更するのであれば、加工等は自由となります」とのことでした。
公式販売サイトもあるよ
「自分で作ると失敗しそう…」という人は、BASEの公式ショップやSUZURIもありますよ。BASEでは缶バッジとキーホルダー、SUZURIでは文字なしのステッカーと缶バッジが売っています。
もし、マーク自体をいろんな人に知ってもらいたい!目立たせたい!という人は、3つ目のリンク(セルフヘルプグループ「APDピアサポート」さんのSUZURI)にはTシャツやマグカップ、ブランケットなどもありますよ。
BASE:【公式】LiD/APDマークショップ
SUZURI:LiD/APDマーク ( APD-mark )のオリジナルグッズ・アイテム通販 ∞ SUZURI(スズリ)
SUZURI:APD Peer Support ( apd_peer )のオリジナルグッズ・アイテム通販 ∞ SUZURI(スズリ)
まとめ
世の中には赤いタグに十字とハートのマークが付いた「ヘルプマーク」や、警察庁が定めた自動車用の「障害者標識」(クローバー・ちょうちょのマーク)など、多くの人が意味を知っているマークもあります。
一方で、当事者団体や支援団体が作成して、これから知られていく段階のマークもたくさんあります。
“はてなの耳のコアラくん”は、おそらく後者ではありますが、見た人が「なんか、かわいいね」「何のマークなの?」と声をかけて聞こえについて話すきっかけになる素敵なマーク。
聞き取りにくさに困っているたくさんの人がコアラくんと出会って、ふと町で同じマークを付けた人を見かける日が来たらちょっとうれしいなと思っています。
【APDのこと】配慮してもらえたら嬉しいこと
「聴力には問題ないのに言葉を聞き取るのが難しい」といわれるAPD。
これまで、3回くらいに分けて「どんな場面で困ってる?」というような症候そのものについてお伝えしてきました。
そのなかで、APDって原因や治療方法ははっきり分かっていないけれど「環境を調整することで本人の負担を軽くできる可能性があるよ」と何度か書いています。
今回は「じゃあ、具体的にはどんなことをすると楽になりそう?」ということで、下記についてお話ししようと思います。
まず、ちょっと前置きをすると、この内容はAPD当事者である私の立場から「周りの人が、こんな風にしてくれたら助かるかも」という内容をまとめたものです。
あまり個人的な意見に偏りすぎないように
も参考にしていますが、APDの人の中でも聴き取りにくい音の種類やパターンは違う場合もあるので、「こうすれば全員OK」というわけではありませんが…。
これも参考にしつつ、自分の身近で困っている人に直接聞きながら無理のない範囲でご協力いただけたら嬉しいです。
① できるだけ静かな環境で
たくさんの音がある環境や、音が声と重なってしまう状況では聴き取りにくいと感じることが多いです。
そのため、今後の予定や覚えておかないと困る話などは特に、静かな環境で伝えてもらえると助かります。
もし、話し手や本人(聞き手)が音の近くにいるときは、可能なら
- 一旦手を止めて作業音を無くす
- ラジオや水道などはいったん止める
- 移動できる場合は音から少し離れる
などの配慮をしてもらえると聴き取りやすくなると思います。
②少しゆっくり・短めに
「聞き取れない」と伝えると、相手が大きな声で話してくれることがあります。たしかに、雑音が多い場合は小さな声より聴き取りやすくなります。
ただ、難聴とは少し違うので普通の大きさの声でも少しゆっくり(早口にならないように)話してもらうと、それだけで聴き取りやすくなる場面も多いと思います。
また、APDの人のなかには言葉が聴き取りにくいと同時に「聴覚的な情報をすばやく整頓する」のが苦手な人もいます。
そのため、伝えたい内容は短めにまとめると、聞き取りやすいだけでなく混乱も避けられる可能性があります。
他にも、「音(声)に注意を向けた状態を保つ」のが不得意な人も多いそうです。なので、声に注意を向ける時間が短くて済むという意味でも、短い文章で伝えると情報が受け取りやすくなるかもしれません。
③ 文字で確認できると助かる

APDの人は「聞こえない」わけではありませんが、周りの人が思う以上に視覚的な情報を頼りにしているのではないかと思います。そのため、新しく伝えることや大切なことは文字で伝えてもらえたら助かります。
「書くよりも口頭で伝えるほうが楽」「大事なことは直接話したい」という人は多いと思うので頼むのは少々心苦しいですが、
- 電話よりLINEやメールで
- 短文でよいので指示はメモで
などをしてもらえると、伝えた側の「伝えたはずなのに」「本当に聞いてた?」というストレスも減るかもしれません。
(自分はよく「大事な話なので電話で」と言われて困ったり、「ちゃんと理解したいのでメールにしたい」と伝えて責められたりしたので、相手の取りたい方法を変えてもらうのは勇気が要りますが…)
④ 「聞き返してもいい」と、ありがたい
誰でも、日常生活で聞き返すこともあります。でも、真剣な話ほど、聞き返される回数が増えるほど、聞き返された相手は不安になったり不快に感じたりするのではないでしょうか?
私自身は、「聞き返しを重ねることで相手からの信頼感が失われる」と実感したことがあって、仕事中は聞き返さずに取り繕おうとして疲弊してしまうことがよくあります。
だから、家族・友人にだけでも「真面目に聞いてるけど、それでも聞き返してしまうことがよくあるよ」ということを許容してもらえたら、安心できる場所が増えます。
⑤補助ツールを使わせてほしい

APD/LiDの人は、音声の送受信機やノイズキャンセリングイヤホン・文字起こしアプリなどを使うことでザワザワした場所でもコミュニケーションがとりやすくなる場合があります。
ですが、せっかく「これを付ければ改善するかも!」と感じたツールがあっても、学校や職場での許可が得られず使えないことも。
特に、イヤホンは聞こえの補助に特化したツールでなく音楽も聞けますし、文字起こしアプリは録音機能が付いたものもある(無かったとしても、相手は「録音されてる?」と思ってしまう)という点で許可を出しにくいかもしれません。
(もし、当事者さんが小学生だった場合は「電子機器を学校に持ってきて、破損や紛失した場合の責任の所在は…」といった別の面での心配もあるかもしれませんね)
でも、「こんなことに困っている」「授業中・仕事中に補助ツールを使えないか」といった話題が出たら「今までそんなことなかったから…」ではなく、「こんな場面なら使っていいと思う」「ここがネックになっていてすぐには許可が難しい」など具体的な相談に乗ってもらえたら助かります。
まとめ
今回は、周りの人が「音の少ない環境で」「ゆっくりと短めに」話してもらうこと、「声より文字で」伝えてもらうこと、ツールや聞き返しを「許容してもらう」ことで聞き取りの負担が減るかも。という内容でした。
でも「今回話題に上がったすべて」をしよう!と思うと、周りの人が窮屈に感じてしまうのではという不安もあります。なので、「このなかの1つ」でも、試してもらえたら嬉しいなと思います。
ちなみに捉え方の個人差かもしれませんが、APD/LiDの当事者や家族のなかには「してもらう」という言い回しは上下関係があるようで好きではないという人もいる気がします。
これは何が正解というものではないですが、個人的には、あまりネガティブにならない範囲で「なにも気にせず話すほうが楽なのに、配慮してくれている」という気持ちは持っておきたいなと思っています。
【APDのこと】どんなときに聴き取りにくいの?(子ども編)
私自身「自分、人より聴き取れてないかも!?」となったのは成人してからだったので、前回の記事では経験も交えてAPDの人たちはどんな場面で聴き取りにくいのか?を主に3つ紹介しました。
今回は「APDの当事者が子どもだった場合」どんな場面で聴き取りにくさを自覚・他覚しやすいのか調べて年齢別にまとめてみました。
幼児期(小学校入学前)

この時期は言葉も覚えている途中ですし、そもそもAPDとか関係なく一発で指示を聞いてくれる子どもなんて少ないですよね。
なので、幼児期には周りの大人もわかりやすい言葉で・伝わるまで何度も伝えてくれることが多いと思います。
でも、保育園や幼稚園などに入って子ども同士での集団生活が始まることで「聴き取りにくさ」が見え始めることもあります。
特に
- 先生が大人数の子どもに一斉に指示を出す
- お遊戯をしながら先生が動きの指示を出す
- 園庭で遊んでいるとき話しかけられる
といった場面は周りの子どもの話し声・笑い声や足音、お遊戯の伴奏や歌声などが重なって必要な声が埋もれてしまいがち…。
自分にとっては30年近く昔の遥かな記憶ですが、お遊戯系の時間というのは「先生が言ったことをやる」のでなく「隣の子の真似をする遊び」と思っていた覚えはあります。
また、指示が聞こえないために一人だけ行動が遅れてしまい、他の子が次の行動に移っている中で置いて行かれてしまうこともあるそうです。
こうして、聞こえていればちゃんとできるはずのことでも「なんか他の子より一歩遅れている子」と思われてしまったり、よくわからなくて失敗してしまったりするわけですね。
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「周りの子のようにできない」とき、聴き取りが苦手な場合もあれば、今していることに集中しすぎて指示が耳に入っていない・聞き取れているけれどどうしたらよいかわからない・指示はわかっても自分のしたいことを優先している…などAPDとは別の部分で周りとペースが合わない子もいると思います。
気になることがあったら、「別の環境での様子」や「別の伝え方をした場合の行動」などはどうかな?と観察してみて、かかりつけの病院や保育園の先生に相談してみるのもよいかもしれません。
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ここで少し心理学の話をすると、人の成長って「単にいろんな知識が増えていって大人になる」のでなく、「時期ごとに段階を踏んで感情や感覚を発達させていく」と考えられています。
この考え方で有名なのがエリクソンという学者でして、この人は人生を8つの段階に分けたうえで、それぞれの段階で特定の課題をクリアすることで成長していくとしています。
そのなかで、幼児期前期というのは「自律性」と「恥」の時期。よく、幼稚園の子って「まだそれはできないんじゃない?」ということまで「僕がやる!」と言い張って、結局達成できなかったのが恥ずかしくて悔しくて泣いてしまったりしますよね。
これは、今まですべてを大人にやってもらっていた赤ちゃんから「自分でやる!」→「できなくて恥ずかしかった…もうイヤ…」→「今度はできた!」を繰り返して子どもになる過程。
さらに、幼児期後期には「自発性」と「罪悪感」の時期が来て、「なんで?どうして?」と多くのことに疑問や興味を持つ一方で、責められることに罪悪感が芽生え始める時期とされています。
親から見れば、保育園くらいの子は「まだまだ赤ちゃん」「しっかりできなくても、元気に過ごせればいい」かもしれませんが、もう本人はうまくできなかったことを意外と気にしているかも…と思って接してあげるのがいいのかもしれませんね。
学童期(小学1~6年生)

とはいえ、幼稚園の頃って少し周りとズレているくらいでは、本人がそこまで困ってしまう場面は少ないかもしれません。
一方、小学校に行き学年が上がるにつれて、下記のような場面が目立ち始めたりします。
- 朝の会・帰りの会などで話を聞き逃しやすい
- 板書されていない内容を把握しにくい
- グループでの話し合いにうまく参加できない
- 「聞いてなかったの?」と言われる
クラスで行う朝の会・帰りの会は、先生からの連絡事項も多い時間ですよね。でも、廊下や教室は授業中ほどシンとしていなかったりもします(学校の雰囲気にもよりますが)。
しかも、内容も教科書に沿った授業と違い、決まりきったものではありません。
その結果、翌日「みんな先生が言ったことやってきていたのに自分だけ分かっていなかった…」「知らなくて、忘れ物しちゃった」という事態に。
授業でも、先生によって板書の量・内容はさまざまですよね。聴き取りにくさを板書で補っているAPDの子は多いと思いますが、要点をすべて板書をしてくれる先生ばかりではありません。しかも、授業って要点ばかりが大事な情報じゃなかったりしますよね。
自分の場合は、授業の始めに先生が「じゃあ今日は、教科書の〇〇ページから」と言ったのが聞き取れないことがよくありました。
そのため、みんなが授業の内容に集中し始める段階で、まだ「ここだと思ったページ、先生が話している内容と違う!」「みんな何ページ開いてるの?」とあたふたしていた記憶があります。
そして、ザワザワしている環境の他にAPDの人が苦手なのが「複数の人が同時にしゃべっている」です。
グループで話し合うような授業はもちろん、私が小学校の頃は席が近い5人ずつで机をグループにして給食を食べていました。(コロナ以降の今はどうなんでしょうか?)
人が複数集まると、こっちの2人とあっちの2人は違う話をしている…なんてこともあり、誰が話している声なのかうまく聞き分けられないことも。
内容がわからないこと自体も困るのですが、こうなってくると雑談自体に苦手意識を持ってしまったり、普段もグループの輪に入れなくなってしまう子もいます。
自分自身は、休み時間の教室って音の洪水のようで、輪に入れてくれる友人がいても内容には付いていけず、グループの他の子が笑っていれば笑って、なにか発言する子がいればうなずいて「聞いている感じにする」という過ごし方をしていました。
でも、たまにバレて「ちょっと、ちゃんと聞いてる?」なんて言われちゃうんですよね。聴く気持ちはあるんですけどね…。
先ほどのエリクソンの発達段階では、小学校1~6年生くらいは「勤勉性」と「劣等感」の時期。努力や工夫で目標を達成しようとする中で、自分の得意なことを知っていくと同時に、友人と比べてできない部分も知り劣等感を抱いてしまうこともあります。
なので、「周りと同じようにできない」ことが成績につながるというのも本人や親が気になるところだと思いますが、不得意なことが本格的にメンタルに響いてしまったりするんですよね。
でも、APDに限らず不得意をゼロにするのは現実的ではないので、この時期は自分の不得意を認識して「カバーの仕方」を試行錯誤するための時間ともいえるでしょう。
APDが、メンタルにも影響するかもしれないこと

APDって「聴き取りにくいのが困る」が症状の中心ですよね。でも、なんで発達段階の話も一緒にしたかというと、それだけじゃなく、聴き取りにくさによる失敗体験が気持ちの成長にも影響するかもと思ったからです。
具体的には、年齢ごとに獲得する予定だった「失敗してもほかに方法があるかも」という感覚や「自分、できるぞ」という自信が薄くなってしまうかも、ということ。
このあたりが薄いと、大学生や社会人になってから聞こえでつまづいたときに「自分がもっと頑張れば」「自分は仕事ができない」と自分ばかりを責めてしまいがちになると思うんです。
自責感に飲まれてしまうと、気持ちが辛いのはもちろんのこと、周りに協力を求めるという発想がなくなってしまう人もいます。
でも、聴き取れないからといって「自分の努力不足」「まじめさが足りない」なんてことはなく、APDは環境を整えたり伝え方を工夫することで、困りごとを減らせるといわれています。
APDという存在を知ることが、「頑張りが足りないせいじゃなかった」と感じたり、身近な人に協力してもらうきっかけになればいいなと思います。
APDの子と親御さん

発達障害などと同じく、APDも原因や治療方法が明らかになっていない症候です。でも、「こういう状況で聴き取りにくい」とわかれば対策は取りやすくなります。
もし小さいころからAPDだとわかれば、苦手を避ける工夫も早めにできますし、聞こえの特性に合わせた将来の選択についても早めに考えられるかもしれません。
…でも、「自分は聴き取りが苦手だ」というのは聴力のように数値化するのは難しいので、聞き間違いや「ちゃんと聞いてよ」といった言葉が長年積み重なった結果「どうやら人より聴き取れてないかも」と自覚する人が多いでしょう。
そのため、後から考えれば保護者が「幼いうちに気づいてあげられたら」と思っても、なかなか本人が気づいて表出すること自体が難しく、「そんな気がする」と思ったころには高校生だったりします。
実際、APD研究で有名な阪本 浩一先生たちの研究でも、小学生~高校生の学生とその保護者を対象として聞こえの困難さに対するアンケートを行うと「学年が上がるほど聴き取りにくさを自覚できるようになる」ことがわかったそうです。
(論文の画像をそのまま使うわけにはいかないので、こんな感じの曲線だったよ↓というグラフを作りました。横軸が学年、縦軸がアンケートのスコア(高いほど聞こえに困難を感じている)です)

ただ、この調査では、もう一つ意外なことがわかりました。
学年が上がるにつれて子ども自身の聴こえにくさの自覚ははっきりしてきますが、保護者の認識は年齢ごとに大きな変化はない(何なら、少し右肩下がり)ですよね。学年が上がるごとに、上のグラフの赤い線と青い線はどんどん離れています。
これは、子ども自身が「自分って聴き取りが苦手かも…」「聴き取れなくて困っちゃうことがある」と自覚していても、その保護者は「そこまで困ってはいないだろう」と捉えている状態を表しています。
論文を読みながら、これって私自身も家庭・職場でよく経験する、打ち明けたのに「あ、私もよくあるー」「大丈夫でしょ、仕事できてるじゃん」と言われて話がそこで終了するパターンかも…と思ってしまいました。
※論文からは「被験者のうち何人の子どもが親に聴き取りにくいことを伝えたか」はわからないので、単に「子どもが伝えていないから親はそう思っていない」可能性もあるかもしれません
「自分って他の人と違うんじゃないか」と言っている人に対して「大丈夫だよ。それくらい普通だよ」と伝えたり思ったりするのは、おそらく優しい気持ちからなのだと思います(思いたいです)。
でも「普通だよ」という言葉は、思い切って打ち明けた本人に「みんなとそんなに変わらないでしょ?特別な配慮なしで頑張りなさい」という風に聞こえてしまう可能性もあります(実際に、言っている人がそう思っている場合もあると思います)。
「聞き逃し」「聞き間違え」自体は誰にでもあることだけに、それで困っているというのは理解されにくい面はありますが…それが「たまに」のレベルを超えると、いろいろな場面で生活に支障が出たり本人の負担になります。
APDは原因や治療方法が確立されていないので「付き合っていく」しかない部分もありますが、周りが協力して環境の調整や伝え方の工夫をしてくれることで困難感や疲労感を軽減することはできます。
お子さんの場合は特に、ぜひ「大丈夫だよ」ではなく、本人が話題にしたタイミングで本人の感覚について聞いたり、苦手さに合わせた対策を一緒に考えたりできたらよいのかなと思っています。
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今回触れたたアンケートは、大阪公立大学耳鼻咽喉科 阪本浩一先生を中心とした研究班の皆さんが作成した「LiD / APD 診断と支援の手引き(2024 第一版 )」に載っていたものです。
もっとちゃんと知りたい!という人は、ぜひこちらも(気になる項目だけでも)読んでみてはいかがでしょうか?
【APDのこと】どんなときに聴き取りにくいの?
前回はAPDの概要や「実際どう聞こえているか」の再現音声(自作なのでクオリティは、まぁ…)を貼ったりしてみました。
自分自身は、一言でいえば「音の重なりが多い場面が苦手」と理解しているのですが、それって日常生活ではどんな場面?というのをいくつか紹介していきます。
APDの人が特に「聴き取りにくい」と感じやすい場面は、こちらの3つ。では、それぞれ「どうして?」「具体的にはどんな場面?」を考えていきます。
環境音が多い

環境音が「多い」と表現したのは、必ずしも一般的に「うるさい」と感じられる音の大きさでなくても、小さな物音や空調の音が重なることで聴き取りにくさを感じる人もいるからです。
また、家の中だと空調やサーキュレーターなど電気製品の音のほか、テレビがついていたり水道を使ったりしているときなども、声と音が重なりやすく聞き取りのハードルが上がる場面かなと思います。
見出し下に貼り付けた画像↑は、漫画などのイメージで擬音や吹き出しを付けてみたので一般的にはこんな感じなのかな?というところですが、APDの人の場合はこんな感じ↓になります(個人差はありますが)。

この場面だと一般的には話し相手である「男性の声」に一番注意を向けるべきところ。しかし、頑張って注意を向けているつもりでも、食器を洗っている音や水道の音に邪魔されるのはもちろん、テレビの音もかぶってきます。
実は、自分は「こんなうるさいんだから、相手だって聴き取れてないでしょ~」と、たまに思ったりするのですが…。こちらが話すと、ちゃんと返事がくるんですよね。これが。
自分よりテレビのそばにいても相手はこちらの言葉を聞き取れているということになるので「やはり、聞こえに差があるんだろうな」と実感します。
そして、「聞こえなくて会話についていけない」こと以外にも困りごとが。
上の画像のように、かなり会話に参加する努力をして頭はフル回転なのですが、そちらに必死で表情まで気が回らなかったり返答はできていなかったりします。
そうなれば、相手は「この人、話聞いてないの?」と感じてしまうんです。しかも、聞き間違えたまま見当ちがいな返事をしたり頻繁に聞き返してしまうことも。
これが、APDの人がよく直面する「必死に聞いてるのに“ちゃんと聞いて”と言われてしまう」の原因ではないかな、と思います。
相手を不快にさせたのは事実ですし、「自分はAPDなのでは?」と気づく前であればなおさら説明も難しい。だから「自分では聞いてるつもりなのに…でも、よく言われるから自分のせいなのかな」と落ち込んでしまう人も多いと思います。
ちなみに、自分はすでに診断も受けている身ではありますが、理解されにくい症状とはわかっていても、親しい人から「もっと頑張って」とか言われると結構凹むんですよね。
学校の友人くらいなら、まぁ仕方ないかと流すこともできますが、「この人には聴き取りにくいことわかっていてほしかった」というような親しい人に言われるとね。
複数の人が同時に話している

音が重なるという意味では「環境音が多い」と似ていますが、複数の人が一緒に話をする場面も苦手です。
上のイラストは「会社での企画会議」みたいなイメージにしてみましたが、ちょっと、こういう仕事はしたことがないので不自然かもしれません。すみません…。
ちょっと説明を加えると、全体でのミーティング中ではありますが手前の2人がターゲットの性別について話していて、奥の黒スーツの男性から正面の女性にパッケージデザインの話題を振っています。
そして、その後ろから水色のワイシャツの人が、使用感について一言言ってくれています。
こういう場合、周りで人が話していても自分が話している相手にフォーカスして注意を向けることができるらしいのですが、APDの人たちは、音がたくさんある場所では特定の音に注意を向けるのが苦手です。
その結果、こんな感じになります。

もちろん、注意を向ける努力はしているのですが…他の音が邪魔してきて、メインの音はうまく聞き取れない。じゃあ、サイドの音は聴き取れているかと言ったら、全部がかたまりのように絡み合って、メインもサイドもよくわからない。
そんな感じです。
会議以外に、友人4~5人で一緒に遊んでいるときや、飲み会もこんな感じですね。友人の場合は聞き返しが気楽にできる点は良いのですが、会議などに比べると雑談は文脈からの単語の予測は難易度が上がります。
そしてもう一つ、APDの人が集団での会話が苦手な理由として「音の方向がわかりにくい」場合もあるそうです。
「定位感」という言葉があるのですが、これはどの方向から音が聞こえているかを判別する能力。もしくは、オーディオ機器の性能として「そういう立体的な音の聞こえ方を再現できるか」といった文脈で使われます。
一般的には、この能力があるので周囲に複数の人がいても「どの方向で誰が話している」となんとなく認識できるのですが、これが苦手だと「まわり全体からいろんな声がする」ような感じになってしまいそうですよね。
自分自身は、この「定位感」についてはさほど問題を感じていないのですが、APDの人の中にはこの特性が強い人も多いそうです。
電話などを通した声

たぶん、誰でも(APDがなくても)電話を通した声より直接話している声のほうが聴き取りやすいですよね。
これは、単純に音質の問題もありますが、それだけではなく「両耳で聞いたほうが聞き漏らしが減る」からだと考えられています。
目と同じで、耳に関しても普段私たちは「両耳で別々に聞いている」という意識はあまりないと思います。でも、何気なく聞いている音は左右の耳から別々に入ってきたもので、その音をもし別々に聞いたら微妙にですが聞こえには差があるんですよね。
この微妙に違う音を両耳でとらえることで得られる効果を両耳聴効果といって、先ほどの「複数の話し相手の方向を知覚する」というのもこの効果の一つです。
また、脳で情報を処理する過程で左右の耳でとらえた音のうち「よく聞こえたほうの音を採用する」という感じで左右の耳は補い合って聞こえの精度を上げています。
それが、電話では片耳しか使えないので誰でも聞こえの精度が少し下がるわけですね。
ただ、もともと聴き取りが苦手なAPDの人たちは、この「少し」の差でさらに聴き取りづらさが上乗せされる感じかなと思います。
加えて、静かな場所ならまだいいのですが、電話を当てていないほうの耳からは周りの声や音が入ってきますよね。
このとき、聴き取りが得意な人の場合は、先ほどの「よく聞こえるほうに集中して音を取り入れる」の発動と同時に「雑音が入ってくるほうの耳の音は少しマスキングする」ができるらしいです。
でも、APDの人はだいたいこれが苦手とされています。自分自身も「音質の微妙な電話の音声」と「周囲の音や声」両方が同時に耳に入ってきて…もちろん聞き取れません。
その結果、上の画像のようなシーンでの聞こえの主観はこちら↓のような感じになってしまいます。

自分個人の通話なら「スマホに両耳イヤホンを付けた状態で通話を始める」などの対策でだいぶ楽にはなりますが、職場の電話や内線・急な着信ではそうもいかないので電話自体に苦手意識がある人も多いのではないでしょうか。
とくに、外線が多い仕事をしていると「初めて聞く名前」や「聞き慣れない事業所名」なども出てきたりするのでなおさらだと思います。
そのほかの苦手な場面
今回はAPDの人が「聴き取りにくい」と感じやすい主な3つの場面について具体的に話してみましたが、今回紹介した以外にも
- 話のスピードが速いと聴き取りにくい
- 初めて聞く単語が多いほど聴き取りにくい
- 聞く文章が長くなると理解しにくい
- 聴き取れたとしても聴覚的な情報を記憶しにくい
といった聞こえの困りごとを抱えているAPDの人もいます。
苦手とする状況や聴き取りにくさの理由は人によって異なるので、もし、身近な人が「APDかも…」「私APDというのなんだけど」と言っていたら、ぜひ「こうなんでしょ?」でなく「どんな時に大変?」をその人自身の言葉で聞いて、受け止めてもらえたらいいなと思います。
(もちろん、一般的な「主にこういう症状がある」を知っておいてもらえることも、とてもありがたいです)
【APDのこと】まず、APDってなに?について
もともと数年前に発達障害について書いていたブログに上乗せする形で始めたので、APDについて調べてたどり着いた人は発達障害の記事ばかりで「あれ?」と思ったかもしれません。ごめんなさい。
APDの記事を書き貯める前に、先走ってブログタイトルをAPD寄りに変えてしまいました。で、やっと今回からAPDについて書いていきます。
今日は最初なので「APDってそもそもどういうものなの?」という、概要の部分をお話していこうかと思っています。
私自身は医学が専門とかではなく、あくまで当事者。なので「一般的にこういわれているよ」というような、自分がこの症状が気になり始めたころに本で読んだことなんかを少しまとめておきます。
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最初に紹介しておくと、自分がよく読んでいた本はコチラ。診断のことから家族のかかわり方までとても詳しくまとまっているのでぜひ読んでみてください。
「聴こえているのに、聞き取れない」
APDの特徴として、よく言われるのが、この言葉です。聞こえに問題がある、というとイメージが湧きやすいのが「難聴」や「聴覚障害」かと思いますが…こうした障害とは異なり「聴力には問題がない」というのがAPDの特徴です。
音は振動として耳に入ってきた後に骨や神経を伝って情報として脳に受け取られますが、難聴や聴覚障害の場合は、この音が伝わる仕組みのどこかでトラブルが起きていることが多いそうです。
一方で、APDは耳そのものに問題があるわけではないので、聴力検査をすると「正常だよ」という結果になります。じゃあ、どうして聞き取れないの?というところなんですが、コレは聴覚情報「処理障害」という名前がヒントですね。
耳を伝って脳に入ってきた音は、実はそのまますべてを受け取っているわけではなく、一般的には無意識にいろいろな処理をされて情報として受け取られます。
音をスムーズに処理できている場合というのは、聞いた音全体を「これは言葉だよ」とか「これは雑音だよ」と分類したうえで、自分に必要な情報だけをピックアップしているらしいです。
でも、こうした情報処理が苦手なのがAPDの人たちということになります。処理がうまくいかないと、雑音も必要な声も、同じ「音」として聞いてしまうので必要な情報が受け取りにくい、ということみたいです。

この情報処理は心理学の分野では「カクテルパーティー効果」と呼ばれたりするもので、例えばガヤガヤしたパーティー会場のなかでも、自分の名前とか、普段から興味を持っているキーワードとか、そういったものはふっと耳に入ってくる
という感じだそうです。
さっきから「~みたい」とか「だそうです」とか確証に欠ける口調で申し訳ないのですが、これはAPDが無い状態で音を聞いたことがないので…いまだに「ホントにみんなはそんなスゴイことができんの?」と半信半疑なんですよね。実は(笑)
実際、どんな風に聞こえているの?
聞こえ方というのは数値化しにくいので、結構説明が難しいところ。今言ったように「みんながどう聞こえているか」わからないから、比較して「こうです」と明言もできません。
でも、理解してもらうためにはうまく説明したいところ。ということで、当事者の人も「理解したい」と思っている人も、まずはコチラを参考にしてみてください。
これは岡山大学病院 片岡祐子先生が作成したリーフレット!印刷して三つ折りパンフレットとして使えます。
詳細はPDFを開いて読んでいただくとして、APDの人が「聴き取りにくい」と感じやすい状況は主に下記の4つ。
- 周囲に音が多い
- 複数の人が話している
- 慣れない言葉が出てくる
- 電話を通した声
「雑音が多い/早口だと聴き取れない」なんて聞くと「でも、それって誰でもそうなのでは…」と感じるかもしれませんが、それで社会生活や対人関係・メンタルなどに支障が出てしまうレベルなんだ、というところがご理解いただきたいポイントです。

あとは、拙いながら一般的な聞こえ/APDの聞こえがなんとなくイメージできる音声を作ってみたので、よろしければ聞いてみてください。
自分も病院の事務職ということで、「新人社員として上司からファックスの送り方を説明してもらう」という場面の音声イメージです。
とにかく上司がずっとファックスの送り方を説明していますが、電話が鳴ったりキーボードのタイプ音・ホッチキスの留める音・コピー機等々で必要な話がマスキングされて最終的に「これ、絶対に必要な確認だから」と言われた時には
これって!?どれ?なんも聞こえなかったよ(汗)
となっている私の日常を再現しましたので、よければヘッドホンで聞いてみてください。なお、APDでも聴覚過敏がない人いるそうなのですが、私は「聴覚過敏ありパターンのAPD」です。
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これから、APDのほか聴覚過敏などの関連する症状についても書いていく予定です。(初期のうちは特に)早めに更新する予定なので、またお立ち寄りいただければ幸いです。
【忘れん坊ADHDのお助けアイテム】忘れ物防止グッズ
今回は、僕が小学生の頃から困っていた問題。もはや親に言わせれば僕の特徴の1つとなっている「忘れ物」の話です。なぜ忘れ物をしてしまうのか?について考えつつ、考えられる対策や便利グッズを紹介します。
忘れ物エピソード
当然、誰でも忘れ物をすることはあると思います。ただ、僕の場合は2日に1回以上でした。小学校~高校の頃は、対策として教科書類を2組買ったりしました。(自宅で勉強する用と、学校で使う用です)
それでも、
・宿題や体育着などを家に忘れる
・ランドセルを学校から背負ってき忘れる
・大学になってからは、講義室の机に携帯を忘れる
・コンビニのレジでお釣りを受け取って商品を忘れる
・電車の座席に、手に持っていた財布を置いて忘れる
たまになら笑えるんですが、これが年中だと悩んできます。しかも、大人になるにつれて財布やカード、携帯など高価なものや重要なものが忘れ物の対象に含まれてきます。慣れたけれど、どうにかできるならしたいというのが正直なところです。
原因については、今回診断を受けてスッキリした問題ではあります。結論から言うと、ADHDの特徴が影響しているのだろうということでした。
忘れ物の原因
では、なぜADHDだと忘れ物を頻発するのでしょうね?そのカギになるのが、ADHDの2つの特徴だと言われています。
【特徴①】注意欠陥
どちらかというと、これが忘れ物の主な原因だと言われています。僕も含めてADHDの人は「ワーキングメモリーに障害がある」と考えてよさそうですね。ワーキングメモリーについてはこちらの記事↓も読んでみてください。
つまり、
・ちょっと言われたことを覚えておく
・言われた金額を財布から出すため短時間記憶する
というようなときに使う種類の能力です。
注意欠陥は、この能力に使える容量が少ない状態と言えます。その結果、さっきまで持っていこうと思っていた物を結局は持っていかなかったといった問題が起こりがちです。忘れてしまう瞬間に「持っていく」ということ以外に注意が向いてしまえばなおさらでしょう。
例えば、出勤前に時計を忘れるときは「家を出る時間だ」ということが強い刺激となって入ってきます。電車に財布を忘れるときは「降りる駅だ」ということに気を取られています。その結果、忘れるということが起きます。
【特徴②】多動性・衝動性
今やるべきことに集中し続けるのが苦手で、急に全く違うことに引き込まれてしまうことがあります。また、感情や考えを突発的に行動に移してしまいがちです。僕は、あまり多動性優位ではないのですが学童期のADHDで目立つのはこちらかもしれません。
多動性と衝動性が忘れ物につながる場面といえば、思いついたことを先にやってしまうとき。明日の準備をしていたのに、急に思いついた作業を始めて準備は途中になってしまうというパターンです。
もしくは、準備が整っていないうちに作業を始めてしまい「ここで必要なアレがない!」と必要な時になって気が付くというときもありますね。
忘れ物の対策
①準備は最後までする
当然といえば当然なのですが、まずは明日のための準備を今日のうちにやっておくということ。そして、始めた準備を最後までやること。
ただし、根性論はいけません。とにかくちゃんとやるんだ!みたいのは、多分あまりうまくいかない気がします。まず、準備するための時間を確保すること。何かの合間でなく、準備のために時間を空けましょう。
そして、準備をしている間は他の刺激を減らすこと。テレビやSNSを見るのはいったん休んで、まず準備に集中すると良いと思います。携帯は別室に置いておいても良いかもしれません。
②定位置を作る
毎日使う、時計や財布(今のご時世ならマスク)など。これは僕の場合、部屋の出入り口付近にまとめています。このように必ず持つべきものを1ヶ所にまとめておけば、とりあえず貴重品は忘れにくくなります。
最初のうちは、そこに置いたまま忘れてしまう可能性もありますが…。習慣的に決まったことを確認するのは、慣れてくればできるようになってくると思います。携帯の充電も、そこで出来るように充電器を固定しておくといいですね。
③確認事項のメモ
部屋か玄関のドアに、持つものを紙で貼っておくと最終確認になります。毎日こまかく書き直すのは三日坊主になりそうなので、毎日持つ物だけを書いて
・携帯 ・財布
・水筒 ・手帳
・家の鍵
といった具合で自室のドアノブに貼っておくと効果があります。提出を忘れてはいけない課題や仕事に必要な資料を家で作るときも、ドアノブに付箋は効果的です。
④周りの声掛け
これは、実家住まいの学生さんや同居人がいる方にオススメの方法です。とはいえ、家族の人も持ち物を把握しておくのは大変ですから「メモ見た?」「財布と携帯ある?」など思い出すスイッチになる程度の声掛けでもいいと思います。
⑤薬が役立つこともある
僕は今、コンサータという薬を飲んでいます。人によって効果の出方に差があると思いますが、効いている間は集中して作業することができます。そのため、効いている時間帯に明日の準備などをしておくように心がけています。
忘れ物防止グッズ
忘れ物を防止するために役立つグッズが、結構たくさん商品化されています。詳しい商品紹介は別ページに載せますが、どんなものがあるか紹介しますね。
紛失防止タグ
カギや財布など、失くしやすい物に付けておく電子タグです。小型なので、キーホルダー感覚でつけることができます。個人的には、「iPhoneだけどエアタグ高すぎぃ…」という人にはグリーンハウスのDIGLがおすすめ。
そして、Androidはスマホにもともと入っているFindHubに対応している商品がiPhoneの「探す」に比べると少なくはありますが…Googlepixelなども頑張っているので今後は増えてほしいですね。自分は、Androidユーザーなので今はこれ↓を使っています。
多くのメーカーから色々な商品が出ているので、自分の目的に合った機能のタグを選んでみてください。デザインもシンプルなものから可愛いものまで多様性があります。
大きく分けると、
①置き忘れると通知が鳴るもの
②スマホなどからタグを鳴らして探すもの
③両方の機能を備えているもの
があります。
キーファインダー
中にはスマホを使っていない方もいると思いますし、もっとアナログに簡単に確認したい!という場面もあるかもしれません。そんな方にオススメしたいのがキーファインダーです。
先ほど紹介したタグは1個で2000円ほどしましたね。しかし、コレなら4000円以下で8つまでの物の場所を探すことができます。もちろん「外出先にこのテレビのリモコンみたいなものを持ち歩くのも…」という感じなので自室のみでの使用になりそうですが。
使用方法は至ってシンプルで、探したいものにタグを付けておきます。そして送信機で、その探し物に対応した色のボタンを押す。すると、タグ(受信機)のビープ音が鳴ります。僕は、最初どうにも色の製品の組み合わせが覚えられず各ボタンの下や横に「携帯」「鍵」などシールを貼っていました。
色が並んでいて、目がチラチラするしダサいのイヤすぎる…という人は、シンプルなデザインのこちらもおすすめ。
失くしたときだけでなく「持ったこと」を確認するのにも使えますよ。出かける前に、6つのボタンを片っ端から押してビープ音がすべてカバンの中から聞こえたらOKという具合です。
アプリとかペアリングとかBluetoothとかさっぱり分からない、という方もシンプルに使えますね。欠点として、この手の商品はあまりデザインがスマートではないというのが少し不満ですが。部屋に置いたときに目立つんですよね。
お出かけチェッカー
忘れ物とは少し違いますが、独り暮らしで忘れると深刻なのが「消し忘れ」。そこで、(かなりアナログですが)僕が大学時代に重宝していたタイプのチェッカーを載せておきます。
当時、1週間帰省してアパートに帰ったら冷房でキンキンに冷えていたことがありました。さらに危なかったのが、頻繁に鍋を火にかけたまま忘れて(近場ですが)出かけていたこと。
そこで、これです。すごくアナログ(だしカッコいいデザインではない)ですが、分かりやすくて気に入っていました。
この商品、文字が見やすいのもいいですが二つ折りにできるんですよ。折りたたんでしまえばチェッカー感がなくなりますし、かなりコンパクトです。
家族と暮らすようになってからは、テプラで項目名を「携帯」「財布」「水筒」「手帳」「鍵」に張り替えて使っています。
ちなみに、同じタイプのもので小学生のお子さん用の忘れ物チェッカーもありますよ。アナログなので、小さい子でも使えますね。
準備ボード
子供向けの商品では、本人が持ち歩くのでなく家で確認するための準備ボードもオススメですね。準備すべきもののマグネットを貼っておいて、準備ができたらひっくり返すという仕様のものが多いです。
子ども用はイラストがあって全体がゴチャッとした感じになりがちなので、マグネットの裏表が色など遠目に見てもわかりやすいものがいいと思います。
僕は子供ではないですが「やることリスト」を書けるタイプのボードは大人でも意外と使えます。
オシャレなのがよかったり、職場でも使いたいとかなら、このデザイン↓もいいですね。
こんなかんじで、道具を使うことで(出勤する場面に関しては)僕の忘れ物はだいぶ減りました。もし「もっといいのがあるよ」「これが話題になっていて気になる」といったものがあれば教えていただけたら嬉しいです。

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