ねこむら日誌

体調不良やら育てている植物のハナシ。

忘れ物防止グッズ

今回は、僕が小学生の頃から困っていた問題。もはや親に言わせれば僕の特徴の1つとなっている「忘れ物」の話です。なぜ忘れ物をしてしまうのか?について考えつつ、考えられる対策や便利グッズを紹介します。

 

 

忘れ物エピソード

当然、誰でも忘れ物をすることはあると思います。ただ、僕の場合は2日に1回以上でした。小学校~高校の頃は、対策として教科書類を2組買ったりしました。(自宅で勉強する用と、学校で使う用です)

 それでも、
・宿題や体育着などを家に忘れる
・ランドセルを学校から背負ってき忘れる
・大学になってからは、講義室の机に携帯を忘れる
・コンビニのレジでお釣りを受け取って商品を忘れる
・電車の座席に、手に持っていた財布を置いて忘れる

 たまになら笑えるんですが、これが年中だと悩んできます。しかも、大人になるにつれて財布やカード、携帯など高価なものや重要なものが忘れ物の対象に含まれてきます。慣れたけれど、どうにかできるならしたいというのが正直なところです。

 原因については、今回診断を受けてスッキリした問題ではあります。結論から言うと、ADHDの特徴が影響しているのだろうということでした。

 

忘れ物の原因

では、なぜADHDだと忘れ物を頻発するのでしょうね?そのカギになるのが、ADHD2つの特徴だと言われています。

 

【特徴①】注意欠陥

どちらかというと、これが忘れ物の主な原因だと言われています。僕も含めてADHDの人は「ワーキングメモリーに障害がある」と考えてよさそうですね。ワーキングメモリーについてはこちらの記事↓も読んでみてください。

ワーキングメモリと発達障害 - ねこむら日誌

 つまり、

・ちょっと言われたことを覚えておく
・言われた金額を財布から出すため短時間記憶する

というようなときに使う種類の能力です。

 注意欠陥は、この能力に使える容量が少ない状態と言えます。その結果、さっきまで持っていこうと思っていた物を結局は持っていかなかったといった問題が起こりがちです。忘れてしまう瞬間に「持っていく」ということ以外に注意が向いてしまえばなおさらでしょう。

 例えば、出勤前に時計を忘れるときは「家を出る時間だ」ということが強い刺激となって入ってきます。電車に財布を忘れるときは「降りる駅だ」ということに気を取られています。その結果、忘れるということが起きます。

【特徴②】多動性・衝動性

今やるべきことに集中し続けるのが苦手で、急に全く違うことに引き込まれてしまうことがあります。また、感情や考えを突発的に行動に移してしまいがちです。僕は、あまり多動性優位ではないのですが学童期のADHDで目立つのはこちらかもしれません

多動性と衝動性が忘れ物につながる場面といえば、思いついたことを先にやってしまうとき。明日の準備をしていたのに、急に思いついた作業を始めて準備は途中になってしまうというパターンです。

 もしくは、準備が整っていないうちに作業を始めてしまい「ここで必要なアレがない!」と必要な時になって気が付くというときもありますね。

 

忘れ物の対策

①準備は最後までする

当然といえば当然なのですが、まずは明日のための準備を今日のうちにやっておくということ。そして、始めた準備を最後までやること。

 ただし、根性論はいけません。とにかくちゃんとやるんだ!みたいのは、多分あまりうまくいかない気がします。まず、準備するための時間を確保すること。何かの合間でなく、準備のために時間を空けましょう

 そして、準備をしている間は他の刺激を減らすこと。テレビSNSを見るのはいったん休んで、まず準備に集中すると良いと思います。携帯は別室に置いておいても良いかもしれません。

 

②定位置を作る

毎日使う、時計や財布(今のご時世ならマスク)など。これは僕の場合、部屋の出入り口付近にまとめています。このように必ず持つべきものを1ヶ所にまとめておけば、とりあえず貴重品は忘れにくくなります。

最初のうちは、そこに置いたまま忘れてしまう可能性もありますが…。習慣的に決まったことを確認するのは、慣れてくればできるようになってくると思います。携帯の充電も、そこで出来るように充電器を固定しておくといいですね。

③確認事項のメモ

部屋か玄関のドアに、持つものを紙で貼っておくと最終確認になります。毎日こまかく書き直すのは三日坊主になりそうなので、毎日持つ物だけを書いて

・携帯 ・財布
・水筒 ・手帳
・家の鍵

といった具合で自室のドアノブに貼っておくと効果があります。提出を忘れてはいけない課題や仕事に必要な資料を家で作るときも、ドアノブに付箋は効果的です。

 

④周りの声掛け

これは、実家住まいの学生さん同居人がいる方にオススメの方法です。とはいえ、家族の人も持ち物を把握しておくのは大変ですから「メモ見た?」「財布と携帯ある?」など思い出すスイッチになる程度の声掛けでもいいと思います。

 

⑤薬が役立つこともある

僕は今、コンサータという薬を飲んでいます。人によって効果の出方に差があると思いますが、効いている間は集中して作業することができます。そのため、効いている時間帯に明日の準備などをしておくように心がけています。

 

忘れ物防止グッズ

忘れ物を防止するために役立つグッズが、結構たくさん商品化されています。詳しい商品紹介は別ページに載せますが、どんなものがあるか紹介しますね。

紛失防止タグ

カギや財布など、失くしやすい物に付けておく電子タグです。小型なので、キーホルダー感覚でつけることができます。

多くのメーカーから色々な商品が出ているので、自分の目的に合った機能のタグを選んでみてください。デザインもシンプルなものから可愛いものまで多様性があります。

大きく分けると、
①置き忘れると通知が鳴るもの
スマホなどからタグを鳴らして探すもの
③両方の機能を備えているもの
があります。

キーファインダー

中にはスマホを使っていない方もいると思いますし、もっとアナログに簡単に確認したい!という場面もあるかもしれません。そんな方にオススメしたいのがキーファインダーです。

先ほど紹介したタグは1個で2000円ほどしましたね。しかし、コレなら3000円以下で6つ程度の物の場所を探すことができます。もちろん「外出先にこのテレビのリモコンみたいなものを持ち歩くのも…」という感じなので自室のみでの使用になりそうですが。

使用方法は至ってシンプルで、探したいものにタグを付けておきます。そして送信機で、その探し物に対応した色のボタンを押す。すると、タグ(受信機)のビープ音が鳴ります。僕は、最初どうにも色の製品の組み合わせが覚えられず各ボタンの下や横に「携帯」「鍵」などシールを貼っていました。

失くしたときだけでなく「持ったこと」を確認するのにも使えますよ。出かける前に、6つのボタンを片っ端から押してビープ音がすべてカバンの中から聞こえたらOKという具合です。

アプリとかペアリングとかBluetoothとかさっぱり分からない、という方もシンプルに使えますね。欠点として、この手の商品はあまりデザインがスマートではないというのが少し不満ですが。部屋に置いたときに目立つんですよね。

お出かけチェッカー

忘れ物とは少し違いますが、独り暮らしで忘れると深刻なのが「消し忘れ」。そこで、(かなりアナログですが)僕が大学時代に重宝していたタイプのチェッカーを載せておきます。

当時、1週間帰省してアパートに帰ったら冷房でキンキンに冷えていたことがありました。さらに危なかったのが、頻繁に鍋を火にかけたまま忘れて(近場ですが)出かけていたこと。

そこで、これです。すごくアナログ(だしカッコいいデザインではない)ですが、分かりやすくて気に入っていました。家族と暮らすようになってからは、テプラで項目名を「携帯」「財布」「水筒」「手帳」「鍵」に張り替えて使っています。

ちなみに、同じタイプのもので小学生のお子さん用の忘れ物チェッカーもありますよ。アナログなので、小さい子でも使えますね。

準備ボード

 子供向けの商品では、本人が持ち歩くのでなく家で確認するための準備ボードもオススメですね。僕は子供ではないですが「やることリスト」を書けるタイプのボードは大人でも使えますよ。

 

こんなかんじで、道具を使うことで(出勤する場面に関しては)僕の忘れ物はだいぶ減りました。もし「もっといいのがあるよ」「これが話題になっていて気になる」といったものがあれば教えていただけたら嬉しいです。

ワーキングメモリと発達障害

発達障害のことを調べていると「ワーキングメモリ(作業記憶)」という言葉を見かけます。今回は、それが何なのか?どういうときに使うものなのか?ということを少し考えていきたいと思います。

 

 

記憶の種類

「記憶力が良い」なんて言ったりしますが、その記憶力とは一体どんな能力なんでしょうか?ワーキングメモリについて知る前に、すこし記憶力全体の話をしたいと思います。

記憶の3段階

人は、何かを覚えるときに3つの段階を踏みます。今回は、記憶を「物を倉庫にしまう」という作業に例えて説明してみようと思います。

まず最初にする作業は「記銘(きめい)」と呼ばれています。これは、新しく出会ったものを自分の中に取り込むこと。最近では「符号化」という言い方もあります。新しく来た荷物に、簡単なラベルを付けて倉庫入口に一旦置いている状態です。

次に、その荷物を倉庫の棚まで持っていかなければなりません。そのために、その記憶する作業を何度も繰り返す必要があります。勉強で暗記をするときも、完全に覚えるまでは何度も繰り返し覚えますよね。そして、頭の中に定着した状態が「保持」です。

最後に、記憶は倉庫にしまっただけでは役立ちません必要なときに、必要な記憶を倉庫からうまく出してくる必要があります。これが「想起」という作業です。

あまり意識はしていないと思いますが、これが一般的な「記憶のしかた」です。

記憶 3段階

記憶の3段階

短期記憶と長期記憶

記憶力と言っても、その力は3段階に分かれているということが分かりました。ところで、先ほどの例えで「倉庫入口に一旦置いた荷物」は全て倉庫に入れるのでしょうか?実は、倉庫に入れるまでもなく使ってしまう荷物がたくさんあります。

この、入口に置いただけで間もなく使ってしまう荷物が「短期記憶」。倉庫の棚に並んでいる荷物が「長期記憶」です。

具体的には「ソース持ってきて」と言われて台所から持ってくるときの「ソースだな」というのは短期記憶です。その場だけ覚えておけば良い記憶ですね。ソースを相手に渡したら、もう覚えておく必要もありません。

一方の長期記憶は、覚えたり経験してから数日(ときには数年)経っても思い出すことができます。覚える過程で分類別に分けたり取り出しやすいようにラベルを張ったりするので、いろいろな種類があります。

まず、記憶として意識されることが多いのは宣言的記憶言語化できる記憶)」でしょう。その中には、勉強や経験などによって貯えた「意味記憶(知識)」と過去の実体験である「エピソード記憶」があります。違いが分かりにくいかもしれませんが、エピソード記憶というのは「あのとき父がこう言った」というような記憶です。思い出に近いかもしれませんね。

そして、同じ長期記憶の中でも言語化しにくいのが「手続き記憶」です。これは、言語ではなく感覚で覚えた記憶。たとえば、自転車の乗り方などがこれにあたります。

短期記憶 長期記憶

短期記憶と長期記憶

ワーキングメモリとは?

どんな時に使う記憶か

ここまで長かったですが、今回の本題である「ワーキングメモリ」は上で説明した短期記憶の一種だと言われています。ワーキング(作業)メモリ(記憶)というだけあって、僕たちが日々こなしている作業にはワーキングメモリが欠かせません。

先ほどはソースの話をしましたが、もっと日常的に

・相手が言った言葉を紙にメモする
・レジで「〇〇円になります」といわれて財布から出す
・A+B=Cだと頭の中で計算する

といった場面で使っている記憶力です。そんなに記憶力バツグンの人でなくとも、自然にできている人が多いのではないかと思います。

ところが、発達障害を抱える人の多くはワーキングメモリーの容量が少なめのようです。あまりに自然に使っていると、容量不足の場合に何が起きるか想像がつかないかもしれません。

容量不足で何が起きるか

ソコンやスマホも、一度にたくさんのアプリを開くとフリーズすることがありますよね。それと同じで、ワーキングメモリの容量が少ないと同時にできる作業が少なくなります

例えば、先ほどワーキングメモリを使う場面として3つの例を出しました。

まず「人の話を聞いてメモする」というのは ①聞き取る ②理解する ③要約する ④書く と少なくとも4つのことを同時にしているわけです。さらに⑤相槌を打つ ⑥たまに相手からの問いに返答する なんて作業が必要になることもあります。

次に「レジでの会計」です。ここには①聞き取る ②金額を覚えておく ③その金額を財布から出す という3つの作業が必要です。しかも、お金を選んでいる途中で「温めますか」「お箸は何膳付けますか」というさらなる試練(店員さんからの質問)がやってきたりします。

僕は、この3つを終えると「ひと仕事終えた」と言うような感じになってしまい④お釣りを受け取る ⑤お釣りをしまう ⑥商品を受け取るのどれかを忘れることがよくあります。ちなみに、聞き取りがとても苦手なので店員さんの問いには大抵いつも見当で答えます。(そのせいで、よく要らない箸が付いていたりします)

そして、暗算。これは、①言われた数字を覚えておく ②足すのか引くのか覚えておく ③頭の中で数字を操作する ができないと答えが出せません。学校では「筆算するな」と言われることは滅多にありませんから、僕は算数や数学は不得意ではありませんでした。全部ひたすら書いて解けば済んだからです。でも、発達障害者支援センターで検査を受けたときに自分が暗算が全然できないと気付きました。

こんな風に、日常的な動作でも色々な作業が組み合わさっています。結構みんな、難しいことをこなしながら生きているということですね。

あと1つ、ワーキングメモリが不足していると周りの刺激にも弱くなりがち。何かをしている途中別の刺激が入ってくると、そちらの処理に容量を取られて本来の作業が滞ったりミスが増えます

勉強している横で面白いアニメが放送されているようなものと思ってもらえれば分かると思います。全然集中できないですよね?ただ、その刺激はアニメのように多くの人が気になるものでなく、とても小さな音や光だったりするんです。

 

ワーキングメモリ不足の対策

不足していたらどうしようもないんでしょうか?できないことが増えてしまうんでしょうか?たしかに、容量が大きい人よりは器用にはこなせません。でも、僕自身もすでに30年近く容量不足のままやってきました。なので、自分なりの方法が習慣づいていて大した問題になっていないこともあります

まず自分の頭だけで処理するはずの作業外に出してしまうと負担が減ります。たとえば、覚えていられないな書いておけば良いんです。時間を気にするのが難しければ、タイマーをかければ良いんです。そうすることで、それ以外の作業に使える容量が増えます。

あとは、同じ数のタスク1つ1つが軽いと処理できたりします。なので、聞き取りを補助する手段を考えてもいいですね。あとは、(年齢や環境にもよりますが)お金を選んだり財布にしまう手間を省いてキャッシュレスにするというのも1つの方法かもしれません。

そして、やるべき作業以外の刺激は可能な限りシャットアウト。光対策にカーテンを閉めてもいいし、音が多い場所ではノイズキャンセリングヘッドホンや耳栓が使えます。

 

 自分に合う道具もうまく見つけつつ、少し楽してみるのもいいかもしれません。

診断までの道5(診断と症状)

紹介状1通に右往左往したものの、ひとまず発達障害を専門とするクリニックへ行くことができました。今回は、そこで発達障害という診断を受けたときの話です。

 

 診断のこと

本を読んでみると発達障害の診断を受けるまで「うつ的な症状で何年も心療内科を渡り歩いて」という方も多いようです。しかし、僕の場合は最初のクリニックで(たぶん)発達障害を疑われたから発達障害者支援センターを紹介されました。そして、そこでの知能検査の結果を持って専門のクリニックへ受診。

なので、受診のその日には「うん、まあ、この結果を見ても発達障害で間違いないだろうね」という形で診断となりました。

 診断名的には

ADHD注意欠陥多動性障害
ASDアスペルガー自閉症スペクトラム障害

の2つが混在している状態とのことでした。

 この2つの違いや関係については、長くなりそうなのでまたの機会に話します。

症状のこと

病名はともかく、僕が一番気になっているのは「お腹が弱いのは発達障害のストレスと関係があるのか」ということだったわけです。

 そのため、まずはストレスの原因を考えることになりました。困難を感じる場面は前々回に挙げたので割愛します。しかし、そのコミュニケーションの不器用さ以外にも気になることがあったので、内容別に例を挙げていきます。

感覚過敏

 感覚は、生まれてこのかた自分だけの物です。そのため、感じ方を言語化して人と比べないと「あれ?もしかして他の人と違う?」というのはなかなか気づかないわけです。

 言語化の作業を先生としたことで下記のことが分かってきました

触覚過敏

・呼びかけのために肩をたたかれる
・シャワーを浴びる

と言った場面で、他の人は気にならない程度の強さでも痛みを感じます。だからと言って「絶対肩をたたくな!」「シャワーは浴びない!」というつもりはないんですよ。でも、叩く前に声をかけてほしいとは思っています。(職場では「肩を叩くとめちゃくちゃ驚く奴」だと思われるくらいで済んでいます)

僕は、服はそんなに気にならないのですが服が肌に触れることにストレスを感じるためダボッとした服ばかり着ているという人もいるとのことでした。

僕は、学生の頃から入浴後は気持ち悪さで1時間ほど横になりながら「のぼせやすいのかな?」と思っていました。しかし、どうやらシャワーの感覚のせいだったようです。なので、シャワーにあたる時間を削減するため「頭と身体は別の日に洗う」ことにしました。この対策をしてからは、入浴したあとの時間も必要な作業ができるようになりました。

聴覚過敏

これは、地味に辛いのですが表現しにくいです。「聞こえすぎる」と言ったらいいのかもしれません。たぶん定型発達や聴覚過敏がない人でも、地下鉄やライブ会場では必要な音が掻き消されて不快に思うんじゃないでしょうか?

それが生活音や環境音で起こるわけです。パソコンのファンが回る音や、空調、誰かが水道を出している音、周りの人の話し声、離れた場所で鳴っている電話。そういう、あまり気にならない人が多い「雑音」を苦痛に感じるほど大きく感じてしまうのが聴覚過敏です。

発達障害だけに現れる症状ではなく、耳骨・神経の病気・片頭痛などが聴覚過敏の原因となる場合もあるそうです。

これが、今一番苦労している症状と言ってもいいかもしれません。耳栓なども試してみていますが、音がストレスになるだけでなく必要な会話が聞き取りにくいという弊害もあったりします。

視覚過敏

簡単に言うと、光や色が強く見えたりする状態です。おそらくですが、よく飲酒をする方は二日酔いのときに音や光をストレスに感じることがあると思います。先ほどの聴覚過敏や視覚過敏は、ちょっとそれに近い状態かもしれません。

ともかく、ハイコントラストな光とビビッドな色の映像を長時間見せられたら誰でも疲れますよね。そんな状態です。

これは、聴覚の方よりは対応しやすくて「パソコンや携帯はディスプレイを暗めにする」「薄く色のついた眼鏡をかける」「屋外では帽子をかぶる」などでだいぶ楽になります。

おそらく、これは学生さんの方が大変かもしれませんが僕は高校~大学の頃は薄く色のついたルーズリーフを使っていました。こういう感じのやつですね。

これで、5色試してみて見やすかった色を単品で使うのがオススメです。人によって、強く感じる色や光は違うので。

 

治療の方向性

治療とは言っても、発達障害というのは治っていくものではないです。同時に、完全に症状を消さなくてはならないわけでもないです。本人や周りから見て、その症状で感じてるストレスややりにくさが緩和されていけばいいんだと思います。

とりあえず、僕の場合は上記の症状はASD(アスペルガー症候群)寄りの症状だろうということでした。で、現在「発達障害の治療に」と出されている薬というのは、どちらかというとADHD(注意欠陥多動性障害)の症状に効果があるようなんです。

なので、薬はどうしようか…という部分はありました。ただ、僕は上記以外にも不注意に起因する「忘れ物」「忘れ事」が非常に多いです。なので、この症状対策として薬での治療もしていくことになりました。

診断までの道4(紹介状事件)

前回は「診断までの道」シリーズを休んで「診断名と課題のとらえ方」についての話をしました。今回は、知能検査の結果を受けてクリニックへの初診にこぎつけたときの話です。

 

支援センターから医療機関

今回は受診についてなのですが…発達や能力に偏りがあっても、受診は必須ではありません。しかし、僕は発達障害を専門とする先生に受診しました。何より一番解決したいのは体調のことだったからです。

発達障害者支援センターでは、特定の医療機関を「ここが良いですよ」という紹介のしかたはしていません発達障害を扱っている医療機関一覧のようなものがあり、もし「家の近くが良い」などの条件があれば当てはまる医療機関を複数教えてくれます

ちなみに、この医療機関一覧は(僕の県の場合)
県のホームページ>>障害者・高齢者>>発達障害者支援センター
と辿っていくと「医療機関一覧」というPDFがリンクされていて誰でも見ることができます。おそらく他県でも似たような感じだと思います。 そこから通いやすそうな医療機関を見つけて、自分で電話で予約を取ります。

紹介状という試練

しかし、診察以前に紹介状に関して(僕の中で)ひと騒動ありました。「初診のとき、発達障害者支援センターでの検査結果を持参してください」ということだったので、そのつもりで準備していた僕。

しかし、あらためて初診の予約を取ろうと電話をしたとき「心療内科から支援センターへ紹介になりました」と伝えると「そちらの医療機関の紹介状もできればご持参ください」と。正直、余計なことを言わなければよかったと思いました

 紹介状というのは、ササッと書けるモノでもなく…というより、先生は紹介状以外にもいろいろ仕事がありますから。僕の勤めている病院でも1~2週間はお時間をいただくことがあります。しかも、最初の病院に受診をしてから半年以上経っていました。

・受診は初診のみ
・診察を受けたのは半年以上も前
・その後で他の専門機関で検査を受けた患者

の紹介状なんてどう書くんだろう?僕だってそう思います。案の定、最初にかかった心療内科にその旨を電話をすると、受付のお姉さんに渋られている感じがしました。(僕がそう感じただけなのかもしれません)

 そんなこんなで、

・紹介状が手に入らないことには予約の目途が立たない
・できればご持参くださいというのは必ずではないのか?
・紹介状は時間がかかるかもしれない
・紹介状を書くために支援センターでの検査結果が必要
・そのために、もう一度最初のクリニックに出向く必要がある
・しかし、受付終了時間は僕の終業時間より早い 

この大混乱により、僕は密かにキャパシティオーバーに。ほんとうに、職場のトイレで頭を抱えて泣きました。実際に涙が出ました(苦笑)

無事に初診の予約

落ち着いて全てが済んでから考えてみれば、

・検査結果を届けるのは家族に頼んでも良かった
・診断書が出来上がる目安を聞けば良かった
・その上で、余裕を持った日程で予約を取っておけば良かった

など、いろいろな案が浮かんできます。しかし「人に頼んで良いこととそうでないことがイマイチ分からない」「予想していなかった反応やタスクが現れるとフリーズ」という弱点のせいで大ダメージを食らいました。いつもながら、後で思い返してみれば何てことは無いんですが。

それでも、なんとか受診の日を迎えることができて。ここから、今困っている症状を伝えて内服治療が始まります。症状や薬については、次回以降の記事で順次書きたいと思います。

発達障害チェックリスト

このブログで発達障害について話すにあたり、ネット上でも「発達障害セルフチェック」なるものがあるので見てみました。特徴的な行動や失敗が結構まとまっているかなと思うので、少し平易な文章に変えて一応載せておきます。

 

チェックにあたって

ここに挙げられたチェック項目は、発達障害に見られがちな特徴の一部をピックアップしたものです。そのため、当てはまるものがある=発達障害というわけではありません。加えて、気分障害精神疾患など別の病気や障害によって似た困難を抱えている場合もあります。また、逆に発達障害を抱えている人でも当てはまらない特徴もあります。

そして、発達障害というのは生まれつきのものだと言われています。そのため「当てはまることが1回でもあったから心配」というのは考えすぎかもしれません。それが継続的に起きているかどうかも大切です。

ともかく、このチェックが医療的診断や障害特定の決め手(または可能性の除外)になることはありません。あくまでも、チェックの結果や、それに伴う事象については自己責任でお願いします。

チェックして「こういう傾向のせいで生活に支障を感じている」「具体的に相談したい」など必要を感じた方は、自分で決めつけるのはNGですよ。病院への受診や支援センターへの相談をおすすめします。

逆に「特に受診の必要性は感じないけどもしかしたらそういう傾向があると思って生活してみよう」というのもアリだと思います。

色々くどくて申し訳なかったですが、いろんな感覚の方が見る可能性があるかと思うとつい不足が無いようにと色々気になってしまう僕の悪い癖です。気を取り直して、興味がある方はチェックしてみましょう。

発達障害セルフチェック

ASDアスペルガー症候群

  • 丁寧に接しているつもりなのに失礼だと指摘される
  • 身だしなみに気を使っているが清潔感がないと言われる
  • 相手が言ったこと(皮肉や嘘)を言葉通りにとらえてしまう
  • 伝えたいことを順序だてて言葉にするのが苦手
  • 語彙は豊富なのに話し方が堅苦しいと言われる
  • 会話中に相手の目を見ていない
  • 身振り手振りが大きい(または全く無い)
  • 興味の範囲が限られていて相手の提案や話題に関心を抱けない
  • 可能な限り、同じ方法・手順で作業をしたい
  • ルーティーンが崩れると動揺してフリーズしてしまう
  • 悪気はないがオブラートに包んで伝えられない
  • 雑音の多い場所では相手の話が聞き取りにくい。
  • においの強いものや特定の食感のものが苦手
  • (上記の理由も含め)偏食がひどい
  • 環境に合わせた衣服の調節が難しい

ADHD(注意欠如多動性障害)

  • 後先考えずに行動や決断をする
  • 人の話が終わらないうちに返事や反論をしてしまう
  • 相手の返事や反応を気にせず話し続けてしまう
  • 落ち着きがないとよく言われる
  • 同じ作業を長時間繰り返すとミスが増える
  • 短時間で済む作業を何種類もする方が得意
  • 貧乏ゆすりなど身体を動かすと落ち着く
  • 何かをしているときに別のことに気を取られてしまう
  • 大事な授業や会議でも集中できないことが多い
  • 注意しているつもりでも忘れたり間違えることが多い
  • 頻繁に物にぶつかったり壊してしまうことがある
  • 2つ以上の作業を行うと間違えや忘れてしまうことが多い
  • 約束やタスクを忘れてしまいがち
  • 作業を終えた後で間違えや抜けを指摘される
  • 余裕をもって計画的に進められない
  • 大切な予定でも遅刻してしまう

LD (学習障害)/ SLD(限局性学習症)

  • 文字や単語、文章を正確に読めない
  • 読むことはできるが速度が極端に遅い
  • 読んで意味を理解することが難しい
  • 文章を読めていても人物の関係性や意味が理解できない
  • 文字や文章を書くことが難しい
  • 数字やその大小、関係性の理解が弱い

診断名と課題の話

前回は検査について話をしました。

その結果、色々なことが分かりましたが

数値的な面から言えば「能力の偏りが大きい」という事になりました。

 

しかし、ではどんなサポートを受けていくかとなると

「血液検査の結果これの値が高いので、この薬飲みましょう」

「レントゲンの結果、この骨が折れているので手術しましょう」

というのと違って

「どこが悪いのか」でなく「それでどう困っているか」

という所が大事になってきます。

 

例えば大腿骨を折ってしまったおばあちゃんが2人居たとして

手術は終えて同じように毎日リハビリをしています。

2人とも杖を使って同じくらい歩けるようになりました

しかし、自宅への退院を考える時の課題も同じでしょうか

 

おばあちゃんAは公営のアパート一人暮らし

エレベーターの無い建物の2階に住んでいます。

アパートなので好きな場所に手すりを付けたりもできません

おばあちゃんBは家族と戸建てに住んでいて

骨を折る前までは現役で農家をやっていました。

同居している娘夫婦は会社員で農作業を手伝うのは難しそうです。

 すると、身体的には同じような状態だった2人には

別々の課題が出てきます。

 

このように、診断された病名が同じであっても

知能検査の結果が似たような数値の人同士でも

感じる支障は生活形態や環境によって変化してきますし

必要なサポートもそれによって変わってきます。

 

また、同じAさんであっても

進学・就職・異動・結婚など様々な要因で環境が変化します。

どんなサポートを受けていくか考えるには

「なんという病名か」から一歩進んで、

まず「僕自身は今これに困っている」というのを

ある程度は言語化していく必要がありそうです。

診断までの道3(認知機能検査)

前回は、発達障害者支援センターを紹介してもらい、面談を始めたところまでを書きました。今回は、そこで受けた知能検査・心理検査について少しお話しします。

 

 検査の位置づけ

一般的に、体のどこかが痛かったり悪くて病院に行ったら「原因を知るために検査をしましょう」そして原因が分かったら「それを治療しましょう」というのが一般的です。しかし、検査を受けるか受けないかは自分の希望です。

面談をして、おそらくは発達に偏りが見られそうな場合に「検査を受けることもできますがどうしますか?」という確認があります。

 なので、例えばですが相談はしたいけれどハッキリさせることは望まないというのも1つの選択肢です。ただ、この検査を受けた場合でも結果を病名として断定的に告げられることはありません。少なくとも僕の場合は、そうでした。

また、その検査の結果に偏りがあっても「あなたは病気なので医療機関に行ってくださいね」と言われることもありません。検査の結果は、自分の考え方や得意不得意を把握するために参考にするだけでもいいんです。

検査の流れ 

検査は一通り行うのに時間がかかるため、事前に日時を決めて「次回が検査です。時間がかかるので数回に分けることもできます」と説明を受けてその日を待ちます。

・小さいお子さん
・検査のストレスが強く疲れてしまう

などの場合は何回かに日程を分けて行えるようですが、僕の場合はあまり苦ではなかったし結果が早めに知りたかったので1日(朝~昼過ぎくらいまで)で終わらせてもらいました。
※持ち帰って記入してくる検査もあったので、それは次の面談の時に提出となりました

 検査の内容

支援センターの面談中に行ったのが

・知能検査(おそらくウェクスラー式)
・人格検査(描画テスト)

持ち帰って行ったのが

・人格検査(文章完成テスト、PFスタディ 

だったかと思います。テストの名称は、内容からそうであろうと推測したもの。または、検査用紙に表記されていたものです。

 心理検査は、受ける前に被験者が内容について詳しく知るのは望ましくないと言われています。なぜなら、事前に少し練習したり良い結果が出るように学習することができるからです。逆に、故意に低い点数を出すことも可能かもしれません。

そのため、具体的な出題例を挙げるのはなるべく控えます。大まかにどんな検査をしたかだけ紹介していきたいと思います。(皆さんが調べればネット上でも分かってしまうのですが)

 ウェクスラー式知能検査

知能検査というのも児童向けの物から全年齢、高齢者向けなど種類があります。確認したい内容や、被験者の年齢などから使用する知能検査を決めます。

 このウェクスラー式知能検査の特徴は広い年齢に使用できることとIQ(知能指数)を「言語性IQ」「動作性IQ」に分けて出せること。つまり、総合的な知能指数だけでなく「どんな作業が」「どれくらい得意/不得意か?」が分かります。

ここで僕が一番言いたいのは、低い=ダメ という判断のためにこの検査を使うのではないということです。自分(もしくはお子さんなど)が「どういうことが」「どのように」苦手なのか?どのような工夫をしたら少し行動しやすいのか?の道しるべとして使えますよという事です。

 検査中は、担当者から出される問題に答えたり、パズルのような物を解いたり、簡単な作業を行います。そして、その回答の内容や様子を点数化します。その点数は各作業で主に使った能力別に、下記の4つにグループ分けられます。

言語理解・・・言葉に関する知識・理解・解釈する力

知覚統合・・・で見て状況や状態を把握する

作動記憶・・・で聞いた情報を頭においておき処理する力

処理速度・・・で見た課題に正答を速く当てはめていく

(右側に書いた解説はあくまで僕の理解です)

 ちなみに僕は処理速度は平均以上だったので、例えば「Aと聞かれたらBと答える」のように正答が決まっているものに関しては対処が早いようです。

一方で作動記憶は本当にひどいもので、簡単に言えば「紙に書かずに暗算する」など一時的な記憶を伴う作業は非常に苦手だと分かりました。

また、情報源となる感覚については聴覚から情報を得ることや聴覚情報を扱うことは不得意でした。逆に、目で見たものを記憶したり処理する力は高めだそうです。

と、いうようなことが分かる検査です。

 人格テスト

人格がテストされると言うと僕は学生のころから(自身が心理学部で内容を知っているにも関わらず)自分の本質が異常か正常か確認されてしまうような変なイメージを抱いてしまいます。でも、そんな怖いテストではありません(笑)

 描画テスト

簡単に言うと「こんな絵を描いてください」と言われます。それに対して、被験者が自分の思うように絵を描きます。その描いている様子や描かれた内容などから、本人の解釈の癖・周囲との関係性・自己への評価などを見るものです。

このテストのいいところは、

・感情をうまく整頓できていない場合
・器用な言葉を使える状態/年齢でない場合

でも、それなりに自分が表現されるというところです。

 文章完成テスト

ここからは、宿題のように持ち帰って行った検査です。質問用紙に文章が「途中まで」書いてあります。これに自分で文章をつなげて完成させます。

どんな文章でなくてはいけないという事は無く、その書き出しから自分が思いついたように続ければ良いわけです。

P-Fスタディ

検査用紙に、絵が描いてあります。1コマ漫画のように人物と吹き出しが描かれていて、その吹き出しに何か台詞を書き込むというものです。

人格テストの結果を見ると、僕の場合は

・言われた言葉を文字通りに受け取る傾向があり
・決められたことに関しては律儀に行い
・ストレス自体は感じてはいるものの
・それを表出すべきではないとか仕方のないことだと考え
・外には出さずに過ごしてしまいがち

というようなことが分かりました。

結果の扱い方

一応、各検査の見出しの最後に大まかな結果を書きました。でも、実際は結果が出るのは検査を受けた1ヶ月ほど後です。そのときに、数値の良し悪しだけでなく生活のヒントなども貰えました。

自分自身で心がけること以外にも「職場ではこのように指示を貰うと良いでしょう」というようなアドバイスもあったので、職場の人に協力してもらえる場合には耳寄り情報ですね。

学校でも職場でも、近しい人にとって配慮や協力がしやすくなるという意味では障害や病名のカミングアウトは大きな意味があります。ただ、

・周りの協力体制が整っていない

・気には掛けているけれど過剰反応してしまう

といった場合には、単に自分の結構コアな部分を他人にさらけ出しただけであまり良い結果にならないという事もあると思います。結果が出たら「その結果をどう利用していくか」は、支援センターの相談員さんや信頼できる人とゆっくり話してみてください。