診断までの道2(発達障害者支援センターへ)
前回の記事では、初めて受診した心療内科へ行ったところまでお話ししました。そこで勧められたのが発達障害者支援センターです。今回は、この機関のこと+初回の面談について話したいと思います。
発達障害者支援センターについて
どんな機関なのか
まず、発達障害者支援センターは県や指定都市・指定を受けた法人が運営するものです。僕の住んでいる県に関しては「成人の発達障害に関する行政の相談窓口はここですよ」と決まっています。
小さなお子さんの発達障害に関しては乳幼児健診で指摘される場合が多いかもしれませんね。そこで、保健師さんなどから状況に応じた窓口を案内される場面が多いとは思います。地域により名称や組織には多少違いがありますが発達支援センターというものが設置されていたり、児童相談所も相談窓口になっているようです。
※県や地域により相談窓口の名称や役割にはちがいがあります。相談希望の際は、かならず自分の居住地の県や市ホームページを確認してくださいね。
業務内容など
発達障害者支援センターでは、
・障害を抱えた本人や家族の相談
・制度や機関など社会資源の情報提供
・診断の材料となる知能・心理検査
などを行っています。特に、新たに相談に来る人については状況を把握するため面談時間を十分に取ってくれます。そのため、1日に面談できる件数は多くありません。初めて電話で問い合わせてから実際に行くまでは、数ヶ月かかってしまうこともあります。
僕の場合、最初の心療内科を受診したのが10月中旬。そこで発達障害者支援センターの電話番号と地図を戴き、帰りの駐輪場ですぐに電話をしました。そして最初の面談予約が11月下旬。2回ほどの面談を経て検査を受けたのは翌年の2月。
人口の多い行政区ではさらにかかることもあると思います。
ちなみに発達に関する問題では、現在の状態だけでなく、乳幼児期からの様子も重要な判断材料になります。そのため、面談は親御さんと一緒に行くことが望ましいようです。僕の場合は自分だけで面談へ行きましたが、母子手帳や小学校の通信簿を持っていきました。
どんな内容を相談した?
ここからは、実際に僕がどんな内容で相談したかを話します。ただし、持って行った通信簿や僕の話の「どのポイントで発達障害の傾向が強いと判断されたか」は自分でははっきりわからないものです。一応、通信簿などの概要は書きますが、もしこの記事を読んで自分や周囲の人がそこに当てはまるとしても、自閉傾向にあると決めつけたりはしないでくださいね。
【通信簿】先生からの通信欄
まず、資料(?)として持参したのは小学校の通信簿です。おそらくですが、面談してくれた職員の方は成績よりは担任の先生からのコメント欄(通信欄)について確認していたようでした。なので、その概要を箇条書きで書いてみます。
・自分の興味を持ったことに非常に集中して取り組めています。
・クラスのお友達から遊びに誘われると戸惑うこともあるようですが、
体を動かすこと、みんなと話したりすることも良いことと伝えてから
お友達と一緒に遊べて笑顔見られています。
・昔の生き物のことなど私(担任の先生)にたくさん教えてくれます。
・自分なりの方法で課題にも一生懸命取り組めています。
クラスに慣れたら、お友達の意見もうまく取り入れて行けるように
来年度も一緒に頑張っていきましょう。
大まかな内容はこんな感じでした。
【困難を感じる場面】に関しての僕の回答
次に、現在の生活や成人してからのエピソードについてです。「実際に、会話の中で理解しにくかったことなどがあれば教えてください」という質問に対する僕の答えを書いていきます。
①友人から指摘された例として
・「うちの娘は出来が悪くて」という言葉に対し
僕は「偏差値はいくつなんですか」と質問したが、
解決策を求める相談ではなく謙遜・世間話だとのこと
・「鍋の様子を見ておいて」と言われたので
煮詰まるまで見ていたが焦げないように確認して
焦げ付きそうだったらかき回したり弱火にしてほしい
という意味だったとのこと
・彩度の強いレジュメを作った知人に対して
「色覚障害があるんですか」と突然訪ねたので
友人は嫌味に聞こえて肝を冷やしたと言う
②仕事中に困った例
・制度説明について「ちょっと調べたら声かけてね」
と先輩に言われたのでその通りにしたが
「ちょっと過ぎないかな?」と言われたので
納得が行くまで調べていたら今度は
「十分調べても分からなかったら早く声をかけてほしい」
と言われてしまった。
・所属長から「なにかあったら都度電話ちょうだい」
と言われたので普段と違うことは一応すべて報告した。
しかし「そこまで細かくは要らなかった」とのこと。
自分の挙げた例に対して
①の友人から指摘されたものに関しては「相手がどういう意味合いで言ったのか」「僕の言葉が相手にどういう意味に聞こえたのか」を友人から教えてもらった今となっては、自分のことを「失礼な奴だな」と思って反省はしています。
②の仕事中に困る場面についても「いやいや、そう時はこれくらいを基準にしたらいいんだよ!」「ハッキリ分からなかったら、こう訊けばいいんだよ」と母にアドバイスをもらい「ああそうなのか!」と思ったので、今あらためて文字にしてみれば「何だか困ったやつだな」と自分でも思うんです。
しかし実際はじめてその場面に出会ったときは、相手がその一言で僕にどういう動きを期待しているのか?その「十分」「ちょっと」「なにか」という言葉で、相手がどれくらいを想定しているのか?はよく分からないのです。
毎日なぞなぞを出され続けているようで混乱していましたが、仕事とはそういうモノで先輩方は日々その混乱に耐え抜いているのだ。と勝手に思っていました(しかし、どうやらそうではないようでした)。
僕の1回目の面談はこのような感じで、今まで「みんなも困難に感じているのだ」と思っていたことが自分は少し程度が大きいのかもしれないと認識したのでした。
読んでいる方の中で「自分も気になることがある」「もしかしてそういう傾向がある?」「受診までは踏ん切りがつかないけど少し知りたい」という方が居たら、こちらも是非。
※あくまでもセルフチェックであって、診断につながるものではない点はご了承ください。
次回は知能・心理検査についての記事になります。
診断までの道1(体調不良~メンタルクリニックへ)
成人してから発達障害と診断されるケースでは、「私はそうなのではないか」と思う所があって受診というケースも多いようだというのを本を読んでいて知りました。
今回は、僕が受診したキッカケについて書きます。まだ発達障害自体の話は少ないので、そのあたりが気になる方は次の記事あたりから読んでみてください。
受診の始まり
キッカケは身体症状
僕の場合は、受診のキッカケは精神的な悩みや違和感ではありませんでした。小学校時代から非常におなかが弱かったのです。
(年中おなかを壊している人が発達障害傾向があるという話ではありませんよ)
まぁ別にそういうモノだろう。体質だろう。そう思いあまり気にはしていなかったわけですが、おなかを下すたびに昼食を抜いていたら 職場の所属長に心配をかけてしまったようでした。
(僕は学生時代から、腹痛の日はそうしていたので苦ではないのですが…)
職場(まぁまぁ大きな総合病院)では過敏性腸症候群を疑われたり和漢外来を薦められたり。紆余曲折を経て担当医から「カウンセリングや心療内科を受けるのも手ではないか」というような話がありました。
要は「疾患の判別が難しいまま投薬で対症療法を行うのでなく、ストレスが原因と想定してそこにフォーカスしてみては」ということのようです。
たしかに、親が言うには「気持ちがストレスに鈍い」らしいので日ごろ強いストレスを感じているような自覚がありませんでした。しかし、高校時代にはパニック障害になったりしましたし。もしかしたら、外からの刺激がイライラや悲しさでなく直接身体症状に現れやすいのかもしれません。
近くの心療内科へ
ともかく心療内科に行ってみました。事前の質問用紙や問診に時間をかけてくれる先生でした。そこで、日常生活や仕事の中のことを思い出しながら「どういった場面に困難を感じるか」を答えていきました(この内容については、次回の記事で詳しく書きます)。
当初は、そこでストレスの原因や緩和の方法が分かれば…という目的だったわけです。ところが、答えていると先生が幼い頃のことも訊き始めました。友人関係のことや、親子のことなど。
僕は、症状だけでなく環境をとらえようとしてくれる先生が好きです。なので、実は「今後も、この先生にかかりたいな」と思っていました。でも結果的に発達障害者支援センターを紹介されるに至ったわけです。
というのも、この心療内科は、発達障害を専門にしているわけではなかったので「診断や相談が希望であれば、こういう窓口がありますよ」というような紹介のされ方でした。
受診してみようと思っている人へ
内科の中にも消化器内科や循環器内科があるように、心療内科の先生たちにも専門分野があります。なので、最初から発達障害が気になって受診する場合は下記のことを確認してから受診すると良いと思います。
・行こうとしている病院が発達障害を専門としているか
・(成人の場合)大人の発達障害も診てくれるかどうか
特に、2番目に関しては要確認です。小児の発達外来や小児科に比べると、成人の発達障害を見られますよと標榜している医院さんは少ないです。
(僕は片田舎の人間なので…大都市ではそうでもないんでしょうか…)
なかには「18歳以上でも診ますよ」と言ってくれる小児の先生も居ますが、やはり社会人の発達障害を診ている先生が居るのであれば、そちらをおすすめしたいです。どうしても、成人の患者を多く見てきた先生の方が成人に合った診察ができると思います。
もちろん、診断というのは受診してから検査や面談を経て先生が判断するものです。なので、自分で決めつけて受診に臨むのは少し違うとは思います。しかし、できる確認はしておいた方が診断までの流れはスムーズです。
あとは、受診までこぎつけたら「何か初診時に持って行ったほうが良いものがあるか」は事前に電話で(予約を取った時にでも)確認してみてください(先方から細かく説明してくれる場合もあります)。
ここから、何回かに分けて現在のかかりつけに至るまでを書いていこうと思います。個人的な経験なので、役に立つものではないと思いますが気になる方は読んでみてください。
はじめに
ある日「君は発達や認知のしかたに偏りがあるみたいだよ」と言われるに至りました。例えば、これが自分の子供だったら「どうしようか、まずどんなサポートからしてあげよう」と慌てたかもしれません。もしくは、発達障害というものを全く知らなかったら大きなショックを受けたと思います。
しかし、笑われてしまうかもしれませんが自分は大学では児童心理学とか発達心理学とかを専攻しつつ結局今も医療の現場で働いています。
という言葉も、もちろん初めて聞く言葉ではないので、正直なところ困惑はありませんでした。それどころか学生時代はボランティアとして学習障害(LD)やアスペルガー(ASD)の子の学習支援をさせてもらっていまして。
その子たちについて先生や親御さんたちが「変わってる」「困った」「なぜ」「どうしたら」と言っているのを聞きながら呑気に「大袈裟な人だな~w」と思っていたわけです。今思えば、その子たちが引っ掛かる所に自分も引っかかるからこそ苛立ちも疑問も覚えなかった可能性ありますよね…。
どう言ったらいいのか難しいですが、
発達障害と一緒に生まれて、ずーっとずーっと一緒に生活してきたわけです。でも、ソイツが居ると気付かずに来ました。あまりにも、最初から一緒だったから。不便なこともありましたが、それは皆そうなのだと思っていました。みんな、不便だけれども頑張ってうまくやっているんだと。
それが、今回初めて目が合って名前を知ってソイツに「実は、僕とは一緒に生まれてこない人も多いんだよねぇ」と言われたような気分でした。
話をもっとうまくまとめられる人は多いですし、発達障害を専門にしている先生も世の中たくさんいます。なので障害について詳しく説明して行くというのがブログの主目的ではありません。
ただ、自分の状態について調べたことをまとめると整理できます。思ったことを文字にしておくと何か客観的に気づくこともあります。そうすれば自分のことを人に説明しやすくなるとか、なにかしら良いことがあったらいいなと思いながら書き始めます。