診断までの道3(認知機能検査)
前回は、発達障害者支援センターを紹介してもらい、面談を始めたところまでを書きました。今回は、そこで受けた知能検査・心理検査について少しお話しします。
検査の位置づけ
一般的に、体のどこかが痛かったり悪くて病院に行ったら「原因を知るために検査をしましょう」そして原因が分かったら「それを治療しましょう」というのが一般的です。しかし、検査を受けるか受けないかは自分の希望です。
面談をして、おそらくは発達に偏りが見られそうな場合に「検査を受けることもできますがどうしますか?」という確認があります。
なので、例えばですが相談はしたいけれどハッキリさせることは望まないというのも1つの選択肢です。ただ、この検査を受けた場合でも結果を病名として断定的に告げられることはありません。少なくとも僕の場合は、そうでした。
また、その検査の結果に偏りがあっても「あなたは病気なので医療機関に行ってくださいね」と言われることもありません。検査の結果は、自分の考え方や得意不得意を把握するために参考にするだけでもいいんです。
検査の流れ
検査は一通り行うのに時間がかかるため、事前に日時を決めて「次回が検査です。時間がかかるので数回に分けることもできます」と説明を受けてその日を待ちます。
・小さいお子さん
・検査のストレスが強く疲れてしまう
などの場合は何回かに日程を分けて行えるようですが、僕の場合はあまり苦ではなかったし結果が早めに知りたかったので1日(朝~昼過ぎくらいまで)で終わらせてもらいました。
※持ち帰って記入してくる検査もあったので、それは次の面談の時に提出となりました
検査の内容
支援センターの面談中に行ったのが
・知能検査(おそらくウェクスラー式)
・人格検査(描画テスト)
持ち帰って行ったのが
・人格検査(文章完成テスト、PFスタディ)
だったかと思います。テストの名称は、内容からそうであろうと推測したもの。または、検査用紙に表記されていたものです。
心理検査は、受ける前に被験者が内容について詳しく知るのは望ましくないと言われています。なぜなら、事前に少し練習したり良い結果が出るように学習することができるからです。逆に、故意に低い点数を出すことも可能かもしれません。
そのため、具体的な出題例を挙げるのはなるべく控えます。大まかにどんな検査をしたかだけ紹介していきたいと思います。(皆さんが調べればネット上でも分かってしまうのですが)
ウェクスラー式知能検査
知能検査というのも児童向けの物から全年齢、高齢者向けなど種類があります。確認したい内容や、被験者の年齢などから使用する知能検査を決めます。
このウェクスラー式知能検査の特徴は広い年齢に使用できることとIQ(知能指数)を「言語性IQ」「動作性IQ」に分けて出せること。つまり、総合的な知能指数だけでなく「どんな作業が」「どれくらい得意/不得意か?」が分かります。
ここで僕が一番言いたいのは、低い=ダメ という判断のためにこの検査を使うのではないということです。自分(もしくはお子さんなど)が「どういうことが」「どのように」苦手なのか?どのような工夫をしたら少し行動しやすいのか?の道しるべとして使えますよという事です。
検査中は、担当者から出される問題に答えたり、パズルのような物を解いたり、簡単な作業を行います。そして、その回答の内容や様子を点数化します。その点数は各作業で主に使った能力別に、下記の4つにグループ分けられます。
言語理解・・・言葉に関する知識・理解・解釈する力
知覚統合・・・目で見て状況や状態を把握する力
作動記憶・・・耳で聞いた情報を頭においておき処理する力
処理速度・・・目で見た課題に正答を速く当てはめていく力
(右側に書いた解説はあくまで僕の理解です)
ちなみに僕は処理速度は平均以上だったので、例えば「Aと聞かれたらBと答える」のように正答が決まっているものに関しては対処が早いようです。
一方で作動記憶は本当にひどいもので、簡単に言えば「紙に書かずに暗算する」など一時的な記憶を伴う作業は非常に苦手だと分かりました。
また、情報源となる感覚については聴覚から情報を得ることや聴覚情報を扱うことは不得意でした。逆に、目で見たものを記憶したり処理する力は高めだそうです。
と、いうようなことが分かる検査です。
人格テスト
人格がテストされると言うと僕は学生のころから(自身が心理学部で内容を知っているにも関わらず)自分の本質が異常か正常か確認されてしまうような変なイメージを抱いてしまいます。でも、そんな怖いテストではありません(笑)
描画テスト
簡単に言うと「こんな絵を描いてください」と言われます。それに対して、被験者が自分の思うように絵を描きます。その描いている様子や描かれた内容などから、本人の解釈の癖・周囲との関係性・自己への評価などを見るものです。
このテストのいいところは、
・感情をうまく整頓できていない場合
・器用な言葉を使える状態/年齢でない場合
でも、それなりに自分が表現されるというところです。
文章完成テスト
ここからは、宿題のように持ち帰って行った検査です。質問用紙に文章が「途中まで」書いてあります。これに自分で文章をつなげて完成させます。
どんな文章でなくてはいけないという事は無く、その書き出しから自分が思いついたように続ければ良いわけです。
P-Fスタディ
検査用紙に、絵が描いてあります。1コマ漫画のように人物と吹き出しが描かれていて、その吹き出しに何か台詞を書き込むというものです。
人格テストの結果を見ると、僕の場合は
・言われた言葉を文字通りに受け取る傾向があり
・決められたことに関しては律儀に行い
・ストレス自体は感じてはいるものの
・それを表出すべきではないとか仕方のないことだと考え
・外には出さずに過ごしてしまいがち
というようなことが分かりました。
結果の扱い方
一応、各検査の見出しの最後に大まかな結果を書きました。でも、実際は結果が出るのは検査を受けた1ヶ月ほど後です。そのときに、数値の良し悪しだけでなく生活のヒントなども貰えました。
自分自身で心がけること以外にも「職場ではこのように指示を貰うと良いでしょう」というようなアドバイスもあったので、職場の人に協力してもらえる場合には耳寄り情報ですね。
学校でも職場でも、近しい人にとって配慮や協力がしやすくなるという意味では障害や病名のカミングアウトは大きな意味があります。ただ、
・周りの協力体制が整っていない
・気には掛けているけれど過剰反応してしまう
といった場合には、単に自分の結構コアな部分を他人にさらけ出しただけであまり良い結果にならないという事もあると思います。結果が出たら「その結果をどう利用していくか」は、支援センターの相談員さんや信頼できる人とゆっくり話してみてください。